今後の国防の要!人工衛星を活用した通信技術の向上戦略について

ウクライナ戦争の影響で、衛星通信とリモートセンシング技術の向上は各国の防衛における重要課題となりました。

本記事は内閣府が定めた宇宙技術戦略の衛星分野における、通信をより詳しく要約したものになります。

その上で各国が進めている次世代通信サービスは、低軌道・中軌道・静止衛星を配置した広域な通信覆域を有する通信インフラ構築を前提としています。国・民間企業が様々な取り組みを行いながら大容量データのリアルタイム伝送、デジタル通信ペイロードによる刻々と変化する通信ニーズへの柔軟さの実現を目指しています。
また地上系ネットワークと非地上系ネットワーク(NTN:静止衛星、低軌道コンステ、HAPS*等)が融合し、秘匿性・抗たん性を確保する量子暗号や光通信等の技術と合わさり、陸・海・空・宇宙が多層的・機能的かつ安全でシームレスに繋がる(マルチオービット化)状態の実現を各国が目指している中、直近ではSpaceX社を筆頭とした低軌道衛星コンステレーションの市場はさらに拡大していくと予想されています。

さて各国が目指す最終地点は上記のようで似たような状況の中、現状の各国の状況は以下となります。

低軌道通信衛星の現状

米国

  • SpaceX社によるStarlink、Amazon社によるKuiperなど、低軌道衛星コンステレーション構築と衛星間光通信の適用が進む
  • 宇宙開発庁(SDA)が拡散型戦闘宇宙アーキテクチャ(PWSA)構想を立ち上げ、ミサイル探知・追尾などを目的とした最大1,200機の衛星コンステレーションシステム構築を目指す
    • 2023年に最初の衛星の打上げに成功
    • 2026年までに光通信衛星も含む126機の小型衛星から成る低軌道通信衛星コンステレーションの構築を目指す

欧州

  • ESAが静止軌道に光データ中継衛星EDRS-Cを打ち上げ、2020年から光データ中継の実運用を行っている
  • 2023年より欧州委員会において低軌道を含めた多軌道通信ネットワーク構築を目指したプログラム(IRIS2)を開始

中国

  • 中国Guo Wangはメガ通信コンステレーション計画を立てている

静止通信衛星の現状

安全保障用途でデジタル通信ペイロードを開発・実用化し、民生分野にも転用していく予定。なお現状、世界商用市場における広帯域通信はKa帯が主だが、徐々に逼迫しているため高周波数帯域の研究開発が日米欧等を中心に行われています。

米国

  • 2001年: Boeing社開発の防衛通信衛星WGS(Wideband Global SATCOM)
  • 2020年: ロッキード・マーチン社開発の防衛静止通信衛星AEHF-6
  • 今後の予定
    • 2024年: Boeing社702Xの打ち上げ

欧州

  • 主な実績
    • 2019年: Airbus社開発の通信衛星SES-12(ARTESプログラム)
    • 2021年: Thales Alenia Space社開発の商業静止通信衛星SES-17
  • 今後の予定
    • 2024年: Airbus社OneSat、Thales Alenia Space社Space Inspireの打ち上げ

次世代通信衛星の開発

米国

  • SpaceX社のStarlink(2023年次点で6,000機)
  • Amazon社 Kuiper
  • Lockheed Martin社 (2024年に再生中継技術の実験予定)

欧州
・OneWeb(英国)

日本の戦略

衛星の中の通信領域において、日本は下記4つに注力すると表明しました。日本が主体となってその状態を作る、には他国に遅れをとっているため知識・技術を追いつかせようとしている印象を受けました。

  • 光通信ネットワークシステムの構築
  • デジタル通信ペイロードシステムの構築

デジタル通信ペイロードって何?

デジタル通信ペイロードは、従来のアナログ通信ペイロードとは異なり、ソフトウェアによって制御される通信衛星の送信機・受信機です。従来のペイロードと比較して、以下のような利点があります。

利点

  • 柔軟性: ソフトウェアを書き換えることで、ニーズに合わせて通信方式や機能を変更できます。
  • 拡張性: 新しい通信規格や機能を追加しやすくなっています。
  • 効率性: 信号処理を効率的に行うことができ、電力消費を抑えられます。
  • 信頼性: ソフトウェアのアップデートにより、故障を修正したり、機能を改善したりできます。

用途

デジタル通信ペイロードは、以下のような用途に使用されています。

  • 高速大容量通信サービス: 光ファイバーと同等の高速通信を提供できます。
  • 移動体通信サービス: 航空機や船舶などの移動体への通信サービスを提供できます。
  • 安全保障用途: 軍事通信や情報収集などに使用できます。
  • 災害対策: 災害発生時に通信インフラが途絶した場合でも、通信サービスを提供できます。
  • 非地上系ネットワーク(NTN)技術
  • 秘匿性・抗たん性を確保する通信技術

日本は災害も多いし、妨害されても情報が漏れない仕組みを、色んな地点に通信衛星飛ばして独自に通信ネットワークを構築するよってことかなと思いました。誰がどうやって作っていくのか、日本の企業ですでに取り組んでいるところはあるのか気になりますね。

ロードマップ

日本のロードマップにおいては、商用化や提供といった表現が見られないため他国の商用化をお手伝いして使わせてもらおうといったところでしょうか。

この記事は、2024年3月28日に政府が策定した宇宙技術戦略を要約・コメントしています。
記事中に掲載している全ての画像は、下記政府掲載情報からの引用です。
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai111/gijisidai.html

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