若田 光一宇宙飛行士が参画したAxiom Space社はどんな会社?

2024年3月末でJAXAを退職した若田氏は4月米国ヒューストンにあるAxiom Spaceに参画しました。退職会見で「有人宇宙飛行の現場で、生涯現役で頑張りたい」と語った若田氏は、Axiom Space社に宇宙飛行士兼CTOとして入社しています。直近もSpaceX社のロケットで有人飛行プロジェクトを成功させた同社は三井物産とも資本提携があり、日本との連携も積極的な印象を受けますがどのような会社なのか調べてみました。

目次

会社概要

Axiom Space社は、2016年に設立されたアメリカの宇宙インフラを開発し、有人宇宙飛行サービスを提供する宇宙開発企業です。民間初の宇宙ステーションを建設・運用することを目標としており、宇宙服の製造、宇宙旅行、科学研究、製造業など、様々な分野での宇宙ビジネス展開を目指しています。

同社は6回の資金調達を実施しており現在の時価総額は約5,000億円とされ、2021 年の 110 名から 2023 年には 790 名に増加するという急成長を遂げています。

事業内容

宇宙業界の「有人」領域には網羅的に関わっており、事業内容は多岐に渡ります。

宇宙実験・製造

Axiom Space は、研究や宇宙内での製造のために国際宇宙ステーション (ISS) へのアクセスを簡素化しています。微小重力環境を利用し既に様々な分野で研究が行われており、今後さらに研究分野を拡大していく予定です。なお研究費用は研究機関や企業が負担することになります。

他にも微小重力環境を利用した製品の製造サービスを提供しています。これまでに、3Dプリンターを利用した部品の製造などを行っており、今後さらに製造品目を拡大していく予定です。

なお資本提携している三井物産は主にJAXAのプロジェクト等をAxiom Spaceと共に行っています。日本のスタートアップ企業株式会社DigitalBlastはAxiom Space社と業務提携しています。東京大学と共同開発した宇宙植物実験プラットフォームを活用しISSで実験を行う予定です。

宇宙旅行

Axiom Spaceの宇宙旅行(Axiom Mission)はISSでの滞在を前提とするものです。Axiom Space社の宇宙飛行士から長期にわたる訓練を受けてSpaceX社のロケットでISSへ飛びます。すでに実施されたAxiom Spaceのミッション3回、直近は2024年1月に実施され全て成功しています。

なお同社が ISS への史上初の民間宇宙飛行士ミッションを完了するという歴史的偉業を達成したのは 2022 年でした。

宇宙服

宇宙服の開発企業としてNASAに選定され、アルテミス計画用の宇宙服を製作しています。

民間宇宙ステーション(Axiom Station)

最後にAxiom Space社の事業の根幹となる民間宇宙ステーションです!この事業の実現・成功のために上記4つを遂行しています。

現状NASAと宇宙ステーション構想で契約締結しているのは4社あります。

Axiom Stationは数ある民間宇宙ステーションの中で唯一、ISSと接続し、その後組み立て分裂し独立させるという契約をNASAと締結しています。それ以外は中国の宇宙ステーションと同様、地上から打ち上げていく契約です。他社よりも早くNASAと契約を締結したこともあり、最も進んでいるのはAxiom Stationです。

2026年に打ち上げを予定しており、ISSが退役した後も軌道上に留まり、商業利用可能な宇宙ステーションとして運用されます。Axiom Stationは、居住モジュール、研究モジュール、製造モジュールなどから構成される予定です。宇宙飛行士、宇宙旅行者、科学者、企業家など、様々な利用者に開放される予定です。

Axiom Space社の強み

宇宙ステーションを運用することを前提とした「宇宙実験」「製造」「有人飛行」「宇宙服」とされるので、最終的には4社からさらに絞られると言われていますがAxiom Stationは手堅いポジションにいる印象です。理由は何なのでしょうか?

NASAとの連携

Axiom Space社の人材と提案の質が良いからだと思いますが、NASAとの連携は他社を圧倒している印象です。

Axiom Space社は、2020年にNASAから商業宇宙ステーションの開発・運用に関する契約を獲得しました。これは、民間企業初の契約です。他社より1年早く動けたことから、民間企業で初めての宇宙ステーション構築が実現できそうな状況です。

同時にNASAと多数の共同研究プロジェクトを進めています。微小重力環境における材料科学、宇宙医学、宇宙生物学などがあります。

経営陣の経歴

NASAとの連携が強固な理由で最も大きいのは経営陣だと思われます。Axiom Space社の経営陣には、元NASAの職員や宇宙飛行士など、豊富な経験を持つ人材が揃っています。

例えばCEOのMichael Suffredini氏は、元NASA国際宇宙ステーションプログラムマネージャーであり、ISSの建設と運用に大きく貢献しました。今回若田光一氏が参画したことにより、JAXAとの連携もより強固になる可能性が高まりました。

宇宙飛行士の在籍数が違う、故に宇宙服やISSへの有人飛行ミッションもAxiom Space社が実行しているのではないでしょうか。

民間企業のスピード感

NASAやJAXA等の公的機関での経歴が豊富にあり、プロジェクトやリスク管理能力が高くありつつも民間企業であることも強みです。民間企業であるAxiom Space社は、政府機関と異なり、迅速な意思決定を行うことができます。

新しい技術や市場動向に合わせて迅速に事業計画を変更することができたり、民間企業への営業を強化し収益源を多様化することでリスクを分散したりすることができます。

他国企業との連携も積極的で、速さや柔軟性も兼ね備えつつ1つ1つのプロジェクトを手堅く遂行できる能力は評価されてそうです。失敗に関するニュースが見受けられなかったので上記のように推測しました。

まとめ

宇宙業界の「有人」領域には網羅的に関わっているといえるAxiom Space社。頻度高く更新されているコーポレートサイトのニュースを見るとワクワクします。

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