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Copernicus/Sentinel完全ガイド 2026年版 — EUの無料衛星データを使いこなす


はじめに — なぜCopernicusが重要なのか

Copernicus(コペルニクス)は、EU(欧州連合)が資金提供し、ESA(欧州宇宙機関)が運用する世界最大の地球観測プログラムだ。最大の特徴は、Sentinel衛星群が取得するすべてのデータが完全に無料で、商用利用も含めて誰でも自由に利用できること。

この「完全無料・オープンデータ」の方針は、衛星データの民主化に決定的な役割を果たしている。NASAのLandsatプログラムと並び、世界の地球観測データ基盤を支える存在だ。

日本からも自由にアクセスでき、農業、防災、環境モニタリング、都市計画などの分野で活用が広がっている。しかし、Sentinel衛星の種類の多さやデータアクセス方法の変遷(旧Open Access Hub→新CDSE)から、「どこから始めればいいかわからない」という声も多い。

この記事では、Copernicusプログラムの全体像、Sentinel-1〜6の詳細仕様、データアクセス方法、APIの使い方、日本からの利用方法、そして実践的な活用事例まで網羅的に解説する。


Copernicusプログラムの全体像

プログラムの概要

Copernicusは、EUの地球観測プログラムで、以下の3つの要素で構成される。

1. 宇宙コンポーネント(Sentinelミッション)

ESAが開発・運用するSentinel衛星群。地球観測データを取得する「目」の役割を担う。

2. 地上コンポーネント(In-Situ)

地上の気象ステーション、海洋ブイ、航空機観測など、衛星データを補完する現場データ。

3. サービスコンポーネント(6つのCopernicusサービス)

サービス略称内容
大気モニタリングCAMS大気質予報、花粉・UV指数、温室効果ガス
海洋環境モニタリングCMEMS海面温度、海流、海面高度、海洋生態系
陸域モニタリングCLMS土地利用・被覆、植生、水文、氷雪
気候変動C3S気候再解析データ、季節予報、気候指標
セキュリティCSS国境監視、海上監視
緊急対応EMS洪水・森林火災等の緊急マッピング

予算と運営体制

  • 総予算: EU予算から約80億ユーロ(2021〜2027年期間、約1.3兆円)
  • 運用主体: ESA(衛星開発・運用)、EUMETSAT(気象関連衛星の運用)
  • データポリシー: 完全無料・オープンアクセス(商用利用含む)

Sentinel衛星群の詳細

Sentinel-1: SAR(合成開口レーダー)

ミッション概要

Sentinel-1は、Cバンド(波長5.6cm)のSARセンサーを搭載した全天候型の観測衛星だ。昼夜を問わず、雲や雨を透過して地表を観測できる。

現在の衛星

衛星打ち上げ状態備考
Sentinel-1A2014年4月運用終了2022年12月に電力異常で運用終了
Sentinel-1B2016年4月運用終了2022年8月に運用終了
Sentinel-1C2024年12月運用中Sentinel-1Aの後継
Sentinel-1D2025年11月運用中Sentinel-1Bの後継、コンステレーション完全復旧

センサー仕様

パラメータ仕様
周波数帯Cバンド(5.405 GHz)
偏波デュアル偏波(HH+HV or VV+VH)
軌道高度693 km
回帰日数12日(1基)、6日(2基コンステレーション)
撮影モードSM(5×5m)、IW(5×20m)、EW(20×40m)、WV(5×5m)

主な撮影モード

  • IW(Interferometric Wide Swath): 最も一般的。250km幅、5×20m解像度。陸域の標準モード
  • EW(Extra Wide Swath): 400km幅、20×40m解像度。海洋・海氷の広域観測
  • SM(Strip Map): 80km幅、5×5m解像度。高解像度が必要な場合
  • WV(Wave Mode): 海洋波浪の観測用

キーとなる応用技術: InSAR

2時点のSARデータの位相差(干渉)を解析することで、ミリメートル単位の地盤変動を検出できる。地震による地殻変動、火山の膨張・収縮、地下水くみ上げによる地盤沈下、インフラの変位モニタリングなどに使われる。


Sentinel-2: マルチスペクトル光学

ミッション概要

Sentinel-2は、高解像度のマルチスペクトル光学センサーを搭載し、陸域の観測に特化した衛星だ。Copernicusで最も広く使われている衛星データといえる。

現在の衛星

  • Sentinel-2A: 2015年6月打ち上げ、運用中
  • Sentinel-2B: 2017年3月打ち上げ、運用中

センサー仕様

バンド波長(nm)解像度用途
B1(エアロゾル)44360m大気補正
B2(ブルー)49010m水域、海岸
B3(グリーン)56010m植生反射ピーク
B4(レッド)66510m植生吸収(クロロフィル)
B5(レッドエッジ1)70520m植生分類
B6(レッドエッジ2)74020m植生分類
B7(レッドエッジ3)78320m植生分類
B8(NIR)84210mNDVI計算、植生
B8A(NIR狭帯域)86520m大気中水蒸気
B9(水蒸気)94560m大気中水蒸気
B10(短波長赤外/巻雲)1,37560m巻雲検出
B11(SWIR 1)1,61020m雪氷、土壌水分
B12(SWIR 2)2,19020m岩石・鉱物、火災

主要パラメータ

  • 軌道高度: 786 km
  • 回帰日数: 10日(1基)、5日(2基コンステレーション)
  • 撮影幅: 290 km
  • 12ビット放射量解像度: 微妙な反射率の違いを検出可能

よく使われるバンドコンポジット

  • トゥルーカラー: B4-B3-B2(自然な色合い)
  • フォールスカラー: B8-B4-B3(植生が赤く表示される)
  • SWIR: B12-B8A-B4(都市域と水域のコントラスト強調)
  • 農業: B11-B8-B2(作物の種類を識別しやすい)

主要な植生・水域指数

  • NDVI: (B8 - B4) / (B8 + B4) — 植生の活性度
  • NDWI: (B3 - B8) / (B3 + B8) — 水域の検出
  • NDSI: (B3 - B11) / (B3 + B11) — 雪氷の検出
  • NBR: (B8 - B12) / (B8 + B12) — 火災による変化の検出

Sentinel-3: 海洋・陸域広域観測

ミッション概要

Sentinel-3は、海洋・陸域の広域観測に特化した多目的衛星だ。海面温度、海色(クロロフィル濃度)、植生の広域モニタリング、海面高度の測定を行う。

現在の衛星

  • Sentinel-3A: 2016年2月打ち上げ、運用中
  • Sentinel-3B: 2018年4月打ち上げ、運用中

搭載センサー

センサー種別解像度用途
OLCI(Ocean and Land Colour Instrument)光学(21バンド)300m海色、植生、大気
SLSTR(Sea and Land Surface Temperature Radiometer)熱赤外500m〜1km海面温度、陸面温度、火災検出
SRAL(SAR Radar Altimeter)レーダー高度計海面高度、波高、風速

回帰日数: 1〜2日(広域カバレッジ)

主な用途

  • 海面温度マッピング(気候変動研究、漁業)
  • クロロフィル濃度の監視(赤潮検出、海洋環境)
  • 広域植生モニタリング
  • 海面高度の変化(気候変動の指標)

Sentinel-5P: 大気観測

ミッション概要

Sentinel-5 Precursor(5P)は、大気成分の全球観測に特化した衛星だ。「Precursor」の名の通り、将来のSentinel-5(MetOp-SG搭載予定)までの間のデータギャップを埋める役割を持つ。

打ち上げ: 2017年10月

搭載センサー: TROPOMI(TROPOspheric Monitoring Instrument)

観測対象空間解像度回帰日数応用
NO2(二酸化窒素)3.5×7km1日交通・工場の大気汚染
SO2(二酸化硫黄)3.5×7km1日火山ガス、工場排出
CO(一酸化炭素)7×7km1日火災、燃焼プロセス
O3(オゾン)3.5×7km1日オゾン層、対流圏オゾン
CH4(メタン)7×7km1日温室効果ガス
HCHO(ホルムアルデヒド)3.5×7km1日揮発性有機化合物
エアロゾル3.5×7km1日大気微粒子

特徴的な応用

  • 都市部のNO2マップ: 交通量の変化を衛星から検出(COVID-19ロックダウン時に世界的に注目された)
  • メタンリーク検出: 石油・ガス施設からの漏洩を宇宙から特定
  • 森林火災の煙の追跡: CO分布で火災の影響範囲を評価

Sentinel-6: 海面高度精密測定

ミッション概要

Sentinel-6は、高精度レーダー高度計で海面高度を連続的に測定する衛星だ。ESA、EUMETSAT、NASA、NOAAの共同ミッション。

現在の衛星

  • Sentinel-6A Michael Freilich: 2020年11月打ち上げ、運用中
  • Sentinel-6B: 2025年11月打ち上げ、運用中

主なデータ

  • 海面高度(cm単位の精度)
  • 有義波高
  • 風速
  • 対流圏・成層圏の温度・湿度プロファイル(GNSS-RO)

応用

  • 海面上昇の長期トレンド監視(気候変動の重要指標)
  • エルニーニョ/ラニーニャの検出
  • 海流の把握
  • 数値気象予報の精度向上

データアクセス方法

Copernicus Data Space Ecosystem(CDSE)

2023年に旧Copernicus Open Access Hub(Sci Hub)に替わって開始された新しい公式データアクセスポータル。Sentinelデータの検索・閲覧・ダウンロード・分析が統合されている。

主な機能

  • Copernicus Browser: ブラウザ上でSentinelデータを可視化。バンドコンポジット変更、NDVI表示、時系列比較、タイムラプス作成が可能
  • データ検索・ダウンロード: 衛星名、日付、エリア、雲量で絞り込み検索
  • JupyterHub: クラウド上のJupyter環境でPythonによるデータ分析
  • API群: 後述のSentinel Hub API、openEO API等

アカウント作成手順の概要

  1. CDSEのWebサイトにアクセス
  2. 「Register」からアカウント登録(メールアドレス、パスワード設定)
  3. メール確認でアクティベーション
  4. ログイン後、Copernicus Browserやデータ検索が利用可能に

日本からの登録に制限はなく、国籍・所属にかかわらず無料でアカウントを作成できる。


Sentinel Hub API

Sentinel Hubは、Sentinelデータをプログラマティックに取得・処理するためのRESTful API群を提供する。CDSEと統合されており、CDSEアカウントで利用できる。

API一覧

API用途特徴
Process API衛星画像の取得・処理evalscript(JS)でオンザフライ処理
Catalog APIデータカタログの検索STAC準拠、メタデータ検索
Statistical API統計値の取得指定ポリゴン内の平均NDVI等
Batch API大量データの一括処理広域・長期間のデータ処理
OGC APIWMS/WCS/WFSGISソフトとの連携

evalscript(カスタムスクリプト)

Sentinel Hub APIの大きな特徴が、evalscriptと呼ばれるJavaScriptベースのカスタムスクリプトだ。サーバーサイドでバンド演算や指数計算を実行できるため、必要な処理結果だけを取得でき、データ転送量を大幅に削減できる。

evalscriptの例(NDVIの計算):

// NDVI計算のevalscript概要
// B8(NIR)とB4(Red)からNDVIを算出
// 結果をカラーマップで色付けして返す
// 緑: 高いNDVI(活発な植生)
// 黄〜赤: 低いNDVI(裸地・都市域)

Python SDK: sentinelhub-py

公式Pythonライブラリ(sentinelhub-py)を使うことで、APIを効率的に利用できる。認証、データリクエスト、結果の取得がPythonコードで完結する。

料金(CDSE経由)

  • 無料枠: 月間一定のリクエスト数まで無料
  • 有料プラン: 商用利用や大量リクエストの場合

openEO API

openEOは、バックエンドに依存しない標準化されたEOデータ処理APIだ。CDSEでも利用可能で、Pythonクライアントからデータ取得・処理・分析のワークフローを記述できる。

異なるプラットフォーム(CDSE、Google Earth Engine、VITO等)間でコードを移植しやすいという利点がある。


日本からの利用方法

アカウント作成

CDSEのアカウント作成に地域制限はない。日本のメールアドレスで登録でき、所属組織の入力も任意。作成から数分で利用開始できる。

データダウンロード

Sentinel-2の10mデータ1シーンは約700MB〜1GB程度。日本の通信環境であれば数分でダウンロードできる。大量ダウンロードにはAPIの利用が効率的。

日本域のカバレッジ

Sentinelは極軌道衛星のため、日本列島全域をカバーしている。Sentinel-2であれば日本のどの地点でも5日ごとのデータが利用可能。ただし、雲が多い日本の気象条件では、雲のない画像を得るために複数日のデータから選ぶ必要がある場合が多い。

注意点

  • ドキュメントはすべて英語(日本語版なし)
  • 時刻はUTC表示(日本時間=UTC+9時間)
  • Sentinel-2の撮影時刻は日本上空で午前10時30分頃(太陽同期軌道)

活用事例

事例1: 農業のNDVIモニタリング

概要: Sentinel-2のB4(Red)とB8(NIR)バンドからNDVIを算出し、圃場ごとの作物の生育状態を5日ごとに追跡する。

手法:

  • 生育期間(4〜10月)のSentinel-2データを時系列で取得
  • 雲マスク(SCLバンド)を適用して雲ピクセルを除外
  • 圃場ポリゴンごとの平均NDVIを計算
  • NDVIの推移グラフから生育異常を早期検出

効果: 従来の現地巡回に比べ、広範囲の圃場を短時間で把握でき、病害虫や水ストレスの早期発見が可能になる。日本でもTellusを通じた稲作モニタリングへの応用が進んでいる。

事例2: 洪水マッピング(Sentinel-1 SAR)

概要: Sentinel-1のSARデータを使い、豪雨や台風による浸水域を検出する。

手法:

  • 洪水前の基準画像と洪水時の画像を取得
  • VV偏波の後方散乱係数を比較
  • 水面は鏡面反射するため後方散乱が大幅に低下する
  • 閾値処理で浸水域を抽出
  • 土地利用データと重ね合わせて被害評価

利点: SARは雲を透過するため、豪雨時でも確実にデータが取得できる。光学衛星では曇天で画像が得られない状況でも観測可能。Copernicus Emergency Management Serviceでも実際に活用されている。

事例3: 大気汚染モニタリング(Sentinel-5P)

概要: Sentinel-5PのTROPOMIセンサーでNO2(二酸化窒素)の空間分布を可視化し、工場や交通による大気汚染の実態を把握する。

手法:

  • 対象地域の月次平均NO2カラムデータを取得
  • 季節変動(暖房シーズン、光化学反応)を考慮して正規化
  • 経年変化を追跡し、環境政策の効果を評価

応用例: COVID-19ロックダウン時のNO2激減の観測で世界的に注目された。日本でも大都市圏のNO2分布図の作成や、工場周辺の大気質モニタリングに活用可能。

事例4: 森林火災の検出と追跡

概要: Sentinel-2のSWIR(短波長赤外)バンドとNBR(Normalized Burn Ratio)を使って、森林火災の燃焼域を検出する。

手法:

  • 火災前後のSentinel-2画像を取得
  • NBR = (B8 - B12) / (B8 + B12) を計算
  • dNBR(差分NBR)= 火災前NBR - 火災後NBR で燃焼重度を分類
  • Sentinel-3 SLSTRの熱赤外データで活発な火災を検出

補完: Sentinel-5PのCO(一酸化炭素)データで煙の拡散範囲を追跡し、大気への影響を評価できる。

事例5: 都市変化検出

概要: Sentinel-2の時系列データで都市の拡大・開発の進行を追跡する。

手法:

  • 同じ季節(雲の少ない夏期が望ましい)の複数年のSentinel-2データを取得
  • NDBI(Normalized Difference Built-up Index)= (B11 - B8) / (B11 + B8) で都市域を強調
  • NDVIの減少+NDBIの増加 = 農地から都市への転換を検出

活用: 都市計画、不動産市場分析、インフラ整備計画の基礎データとして。10m解像度があれば街区レベルの変化を把握できる。

事例6: 氷河モニタリング

概要: Sentinel-1のSARデータとSentinel-2の光学データを組み合わせ、氷河の面積変化と流動速度を長期追跡する。

手法:

  • Sentinel-2のNDSI(雪氷指数)で氷河の面積を季節ごとに計測
  • Sentinel-1のSARデータでオフセットトラッキング(氷河流動速度の推定)
  • 数年間のデータから後退・縮小トレンドを定量化

意義: 気候変動の最も直接的な指標の一つ。Copernicusの無料データにより、世界中の研究者が統一的な方法で氷河変化を監視できる。

事例7: 海洋監視

概要: Sentinel-1のSARデータで海上の船舶を自動検出し、Sentinel-3で海面温度・クロロフィルを監視する。

手法:

  • Sentinel-1 SARで暗い海面上の高反射目標(船舶)をCFAR(Constant False Alarm Rate)アルゴリズムで検出
  • AIS(船舶自動識別装置)データと照合し、AIS未搭載・未発信の「ダーク船舶」を特定
  • Sentinel-3 OLCIのクロロフィルデータで赤潮の発生を監視

活用: 違法漁業の監視(IUU漁業対策)、海上交通管制、海洋環境保全。


Copernicusの今後

次世代Sentinel(Sentinel Expansion)

EUは次世代のSentinelミッションを計画している。

計画ミッション目的予定
CHIMEハイパースペクトル陸域観測2028年以降
CIMRマイクロ波放射計(海氷・海面温度)2028年以降
CO2MCO2排出のモニタリング2027年以降
CRISTAL極域氷厚測定2028年以降
LSTM陸面温度(高解像度熱赤外)2028年以降
ROSE-LLバンド SAR2028年以降

特にCO2M(Copernicus CO2 Monitoring Mission)は、人為的なCO2排出を宇宙から直接測定する初めてのミッションとして注目されている。パリ協定の排出削減目標の検証に使われる予定だ。

Copernicus Data Space Ecosystemの進化

CDSEは継続的に機能を拡充しており、以下の方向に進んでいる。

  • openEO APIの機能強化
  • AI/MLワークフローの統合
  • 第三者データ(Landsat、商用衛星等)の追加
  • JupyterHub環境の強化

FAQ(よくある質問)

Q1. Copernicusのデータは本当に完全無料か?

はい。Sentinel衛星のすべてのデータは、EUのオープンデータ政策により完全無料で、商用利用も含めて自由に利用できる。ただし、Sentinel Hub APIの大量利用は有料プランが必要な場合がある。

Q2. 日本から使う場合、何か制限はあるか?

制限はない。CDSEのアカウント作成に国籍・地域の制限はなく、データのダウンロードやAPI利用にも制限はない。唯一の実質的な課題は、ドキュメントがすべて英語であることだ。

Q3. Sentinel-2の10m解像度で何がわかるか?

10mは「サッカーコート程度」の大きさに相当する。農地の区画単位の分析、森林と非森林の境界、大規模な建物・道路の検出、水域の輪郭把握が可能。個々の建物の形状や車両の識別には不十分で、その場合は商用衛星(Maxar 30cm等)が必要になる。

Q4. Sentinel-1とSentinel-2はどう使い分けるか?

Sentinel-2(光学)は晴天時の高解像度画像に優れ、植生解析・土地利用分類に適する。Sentinel-1(SAR)は全天候で観測可能なため、雲の多い地域や災害時に有効。理想的には両方を組み合わせることで、弱点を補い合える。

Q5. どのプログラミング言語を学ぶべきか?

Pythonが最も汎用性が高い。sentinelhub-py、rasterio、geopandas、Google Earth Engine APIのすべてがPythonで利用可能。Sentinel HubのevalscriptはJavaScriptだが、簡単なスクリプトなので学習コストは低い。


まとめ

Copernicusプログラムは、EUが世界に提供する「地球の公共インフラ」だ。Sentinel衛星群が生み出す膨大な無料データは、農業、防災、環境モニタリング、都市計画、海洋監視、気候変動研究など、あらゆる分野で活用できる。

Copernicusを最大限に活用するためのポイントをまとめると以下の通りだ。

目的使うべき衛星ツール
植生・農業Sentinel-2Copernicus Browser / GEE
全天候観測・災害Sentinel-1SNAP / sentinelhub-py
海洋環境Sentinel-3CDSE
大気汚染Sentinel-5PCopernicus Browser
海面上昇Sentinel-6CDSE
大規模分析全SentinelopenEO / Sentinel Hub API

まずはCopernicus Browserで日本の衛星画像を表示するところから始めてみてほしい。プラットフォームの比較は衛星データプラットフォーム比較 2026年版で、衛星データの基礎知識は衛星データ学習ガイドで詳しく解説している。


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