2026年3月前半(3日〜14日)の欧州宇宙ニュースを時系列で整理する。
ESA — 衛星-モバイル融合に1億ユーロ(3月2日)
ESAが衛星通信と地上通信の融合を加速するプロジェクトに最大1億ユーロ(約1.18億ドル)の資金提供を発表。バルセロナのMobile World Congress(MWC)で発表された。端末直接通信(D2D)、初期6G機能、AIを活用した非地上系ネットワーク(NTN)の統合技術に焦点を当てている(SpaceNews)。
Space-Comm Expo ロンドン — ESA予算221億ユーロ確認(3月4〜5日)
ロンドンで開催されたSpace-Comm Expoで、ESAの2026〜2028年度予算が221億ユーロであることが確認された。宇宙産業・防衛関係者が参加し、欧州の宇宙戦略について議論が行われた(SpaceNews)。
ESA — 欧州独自の宇宙ステーション構想を公募(3月4日)
ESAが、ISS退役後の欧州独自の低軌道宇宙ステーションについて、2件のPre-Phase A(予備構想)調査の公募を開始した。カナダ宇宙庁(CSA)、JAXA、その他のパートナーとの協力を前提としたモジュール型ステーションの実現可能性、アーキテクチャ、利用目的、技術要件を検討する。
これはESAが加盟国に提示した3つのISS後戦略のうち、最も野心的な「シナリオ3」(欧州主導のステーション)に基づくもの。調査結果は2026年末までにESAの意思決定に使用される(European Spaceflight)。
PLD Space — 三菱電機主導で1.8億ユーロ調達(3月4日)
スペインのロケット企業PLD Space社が、シリーズCで**1億8,000万ユーロ(約2.09億ドル)**を調達した。三菱電機が5,000万ユーロを拠出し、リードインベスターを務めた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調達額 | 1.8億ユーロ(シリーズC) |
| リード | 三菱電機(5,000万ユーロ、戦略的パートナー兼打ち上げ顧客) |
| その他出資者 | CDTI(スペイン技術開発センター)、COFIDES(スペイン政府系ファンド)、Nazca Capital |
| 累計調達額 | 3.5億ユーロ超 |
| ロケット | MIURA 5(小型ロケット) |
| 初打ち上げ | 2026年後半(クールーから) |
| 目標 | 2030年までに年間30回打ち上げ |
三菱電機はPLD Spaceの戦略的パートナーとなり、日本およびアジア地域での小型衛星打ち上げサービスを利用する(European Spaceflight、SpaceNews)。
英国 — 宇宙産業に5億ポンドの投資パッケージ(3月5日)
英国政府がSpace-Comm Expoに合わせて、宇宙産業向けに5億ポンドの投資パッケージを発表した。宇宙担当大臣Liz Lloyd氏が発表。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 軌道上サービス・製造(ISAM)の民生能力開発 | 1.05億ポンド |
| 国家宇宙オペレーションセンター(地上監視ネットワーク含む) | 8,500万ポンド |
| 低軌道接続(C-LEO)プログラム | 8,000万ポンド |
戦略的な重点分野は衛星通信、宇宙アクセスの確保、軌道上サービス、宇宙状況監視。
また、Lockheed Martinが英国にスペースハブの建設と製造施設に1億ポンドを投資し、2,000人の雇用を創出する計画も発表された。
英国宇宙庁は科学・イノベーション・技術省(DSIT)に統合され、政府の意思決定に宇宙の専門知見を近づける(UK GOV、SpaceNews)。
Enpulsion — オーストリアの推進系企業が2,600万ドル調達(3月5日)
オーストリア・ウィーンのEnpulsion社が初の外部資金調達として2,250万ユーロ(2,600万ドル)を調達。320基以上のスラスタが軌道上で稼働中。米国市場への進出と補完技術の買収に充てる(SpaceNews)。
ESA — PROBA-3の1機と通信途絶(3月6日)
ESAが、太陽コロナ観測ミッションPROBA-3の構成衛星の1機(Coronagraph)との通信が途絶したと発表した。
2月14〜15日の週末に機体の姿勢制御に異常が発生し、太陽電池パネルが太陽を向かなくなりバッテリーが急速に放電。通信が途絶した。ミッションは2024年12月に打ち上げられ、世界初の精密編隊飛行と軌道上での人工日食の観測に成功していた(ESA)。
Astroscale × Isar Aerospace — デブリ除去を欧州から打ち上げ(3月13日)
日本のAstroscale社がドイツのIsar Aerospace社のSpectrumロケットでELSA-M(デブリ除去実証機)を打ち上げる契約を締結。OneWeb衛星のデブリ除去をESA支援で実施。「欧州の自立的な宇宙開発にとって戦略的に重要」としている(SpaceNews)。
Isar Aerospace — Spectrum 2回目の飛行試験が間近(3月19日以降)
ドイツのIsar Aerospace社が、Spectrumロケットの2回目の2段飛行試験をノルウェーのAndøya Spaceportから実施する予定。3月19日以降の打ち上げを目指している。初の商業飛行に向けた重要なステップ(European Spaceflight)。
この2週間の欧州の動き まとめ
| テーマ | 動き |
|---|---|
| 資金調達 | PLD Space 1.8億ユーロ、Enpulsion 2,600万ドル |
| 政府投資 | 英国5億ポンド、ESA衛星通信1億ユーロ |
| ロケット | PLD Space MIURA 5(2026年後半初打ち上げ)、Isar Aerospace Spectrum(3月テスト飛行) |
| 宇宙ステーション | ESAが欧州独自のLEOステーション構想を公募 |
| デブリ除去 | Astroscale×Isar Aerospace(ELSA-M) |
| ミッション異常 | PROBA-3 Coronagraph通信途絶 |
| 日欧連携 | 三菱電機×PLD Space、Astroscale×Isar Aerospace |