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【週次】宇宙ニュースまとめ 2026年3月17日〜21日


今週の宇宙業界ニュースをダイジェストでお届け。打ち上げ、資金調達、政策、注目データを1本でキャッチアップ。


今週のトップニュース

1. Artemis IIが発射台に到着 — 4月1日打ち上げへカウントダウン開始

NASAの有人月周回ミッション「Artemis II」のSLSロケットとOrion宇宙船が、3月20日にケネディ宇宙センターの39B発射台に到着した。Vehicle Assembly Building(VAB)から約6.4km離れた発射台までの移動には約11時間を要し、クローラー・トランスポーター2が時速約1.3kmでゆっくりと運搬した。当初は早朝の出発を予定していたが、強風の影響で遅延が発生した。

50年ぶりの有人月飛行となるこのミッションは、4月1日の打ち上げを目指している。打ち上げウィンドウは4月6日まで設定されており、さらに4月30日にもバックアップの機会がある。飛行準備審査(FRR)は3月12日に完了済みで、クルー4名はすでに検疫に入っている。

2. SpaceX、Starlink衛星の同時軌道上運用1万基を突破

SpaceXは3月17日にカリフォルニアからFalcon 9ロケットを打ち上げ、Starlink衛星25基を軌道に投入した。この打ち上げにより、低軌道で同時運用されるStarlink衛星の総数が1万基を超える歴史的なマイルストーンに到達した。2019年5月の最初のStarlink打ち上げから約7年での達成となる。

第1段ブースター(B1088)は今回が14回目の飛行で、過去にはNASAのSPHERExミッションやTransporter-12、NRO(国家偵察局)ミッションなどに使用されてきた。SpaceXは同日にもう1機のFalcon 9を打ち上げており、1日2回の打ち上げを実施した。

3. Starship V3、初飛行に向けたテストが本格化 — 4月打ち上げ目標

SpaceXのStarship Flight 12(V3初号機)に向けた準備が加速している。3月16日、V3ブースター「Booster 19」で初のスタティックファイアテストが実施されたが、Raptor 3エンジン10基の燃焼が予定より短く終了したとの報告がある。SpaceXは33基全エンジンでのスタティックファイアに向けて準備を進めている。

上段のShip 39は3月5日に極低温加圧テストを完了した。V3はV2より全長が約1.3m長い124.4mで、低軌道への投入能力は従来の約35トンから100トン以上に大幅に増強される。マスク氏は3月14日に「来月飛ぶ」と発言しており、4月9日前後の打ち上げを目指している。

なお、3月2日にはV3最初のブースター「B18」がガスシステム加圧テスト中に異常が発生しており、Flight 12にはB19が使用される。

4. Rocket Lab、Synspective向け8回目の打ち上げに成功

Rocket LabのElectronロケットが3月20日、日本のSynspective社のSAR衛星「StriX」を軌道に投入した。ニュージーランドの射場からの打ち上げで、ミッション名は「Eight Days a Week」。Rocket LabがSynspective向けに実施した打ち上げは今回で8回目となり、両社の強固な関係を象徴するミッションとなった。

Synspectiveは東京に本社を置くSAR(合成開口レーダー)衛星企業で、2023年に東証グロースに上場している。夜間や悪天候でも地表を観測できるSAR衛星のコンステレーション構築を進めており、防災・インフラ監視・都市計画などの分野で活用されている。


打ち上げ実績・予定

今週の打ち上げ実績

日付ロケットミッション結果備考
3/17Falcon 9Starlink Group 12-14成功Starlink 25基、軌道上1万基突破
3/17Falcon 9Starlink Group 12-15成功同日2回目の打ち上げ
3/20ElectronEight Days a Week成功Synspective StriX衛星、8回目の契約

来週以降の注目予定

予定日ロケットミッション注目ポイント
4/1〜SLSArtemis II50年ぶり有人月周回。4名搭乗
4月上旬StarshipFlight 12(V3初号機)V3の初飛行。100トン級LEO投入能力

資金調達・M&A

企業種別金額概要
MDA SpaceカナダIPO$300Mカナダの衛星メーカー。調達資金でM&Aと債務返済を計画
Space Asset Acquisition Corp.米国SPAC3/20からClass A株とワラントの分離取引開始

政策・規制

  • 米国(NASA予算): FY2026のNASA予算が約244億ドルで確定。当初の24%削減提案から大幅に復元され、科学部門は72.5億ドル(提案比でほぼ据え置き)。インフレ調整後では30年ぶりの高水準となった
  • 米国(NASA授権法): 3月4日に上院商業委員会が「NASA Authorization Act of 2026」を可決。FY2026に247億ドル、FY2027に253億ドル(前年比+2.5%)を授権
  • 米国(OMB): 一部プログラム(Geospace Dynamics Constellation、OSIRIS-APEX、Chandra X線天文台など)について、詳細支出計画の提出まで予算執行を保留するOMB脚注が追加された

注目のデータ

指標数値出典ページ
Starlink軌道上衛星数10,000基超SpaceXダッシュボード
SpaceX 2026年打ち上げ回数(3月時点)30回超ロケット打ち上げリアルタイム
Rocket Lab連続成功21回以上ロケット一覧

今週の一言

今週はArtemis IIの発射台到着とStarlink 1万基突破という、2つの歴史的マイルストーンが重なった週となった。前者はアポロ以来の有人深宇宙探査の再開を象徴し、後者は衛星インターネットがもはやインフラとして定着したことを示している。4月にはArtemis II打ち上げとStarship V3初飛行が控えており、宇宙業界にとって今年最大のヤマ場を迎える。


参考としたサイト

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