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サブオービタル宇宙旅行の比較2026: Blue Origin vs Virgin Galactic — 価格・体験・安全性


この記事は「宇宙ビジネス完全ガイド」の詳細記事です。

サブオービタル宇宙旅行とは

サブオービタル(準軌道)飛行は、高度100km(カーマンライン)を超えるが、地球周回軌道には乗らない飛行形態だ。飛行時間は約10〜15分で、数分間の微小重力を体験できる。

国際宇宙ステーション(ISS)への軌道飛行が数十億円かかるのに対し、サブオービタルは数千万〜数億円で「宇宙に行った」体験が得られる。現在、商業サブオービタル飛行を提供しているのは、Blue OriginとVirgin Galacticの2社だ。


Blue Origin New Shepard

機体概要

New Shepardは、再使用型ロケットとカプセルで構成される垂直離着陸システムだ。名前は、アメリカ初の有人弾道飛行を行った宇宙飛行士アラン・シェパードに由来する。

ロケット: 液体水素/液体酸素エンジン「BE-3」搭載。打ち上げ後に逆噴射で着陸地点に帰還。 カプセル: 最大6名搭乗。大きな窓(1人あたり窓面積は他のどの宇宙船より大きい)を備える。パラシュートとレトロロケットで着陸。

飛行プロファイル

  1. 垂直発射(打ち上げG: 約3G)
  2. エンジン燃焼停止(打ち上げ後約2分30秒)
  3. カプセルがロケットから分離
  4. 最高高度: 約105〜107km(カーマンラインを超える)
  5. 微小重力体験: 約3〜4分間
  6. カプセルがパラシュートで砂漠に着陸
  7. ロケットが自律的に着陸パッドに帰還
  8. 総飛行時間: 約10分

価格と搭乗者

初期の座席価格はオークション形式で、最初の座席は2,800万ドル(約42億円)で落札された。その後の商業飛行では、非公開ながら1席あたり推定20万〜30万ドル(約3,000万〜4,500万円)とされている。

2021年7月にジェフ・ベゾス自身が搭乗した初の有人飛行以降、2025年までに10回以上の有人ミッションを実施。搭乗者には宇宙飛行士のウォリー・ファンク(82歳、当時最高齢)やウィリアム・シャトナー(90歳で飛行時最高齢を更新)が含まれる。


Virgin Galactic SpaceShipTwo

機体概要

SpaceShipTwoは、母機(WhiteKnightTwo)から空中発射される有翼宇宙船だ。ハイブリッドロケットエンジンを搭載し、大気圏に再突入後にグライダーのように滑走路に着陸する。

母機 WhiteKnightTwo: 双胴の大型航空機。高度約15,000mまでSpaceShipTwoを運搬する。 宇宙船 SpaceShipTwo (VSS Unity/VSS Imagine): パイロット2名+乗客最大6名。フェザリング方式の再突入システムを採用。

飛行プロファイル

  1. 母機から高度約15,000mで空中発射
  2. ハイブリッドロケットエンジン点火(約60秒間燃焼、約3.5G)
  3. 最高高度: 約80〜90km(NASAの宇宙の定義80kmは超えるが、国際基準100kmに届かない場合がある)
  4. 微小重力体験: 約4〜6分間
  5. フェザリング(尾翼を折り上げる)で大気圏に再突入
  6. グライダー飛行で滑走路に着陸
  7. 総飛行時間: 約90分(母機からの分離まで含む)

価格と運航状況

座席価格は45万ドル(約6,750万円)。2023年に商業飛行を開始したが、2024年にSpaceShipTwoの運航を一時停止し、次世代機「Delta」の開発に注力することを発表した。Deltaは2026年の飛行開始を目指している。


徹底比較

比較項目Blue Origin New ShepardVirgin Galactic SpaceShipTwo
最高高度約105km約80〜90km
カーマンライン超えはい場合による
微小重力時間約3〜4分約4〜6分
搭乗人数最大6名最大6名(+パイロット2名)
発射方式垂直発射空中発射(母機から)
着陸方式パラシュート+レトロロケット滑走路着陸
総飛行時間約10分約90分
価格推定20〜30万ドル45万ドル
発射場テキサス州西部ニューメキシコ州
窓の大きさ非常に大きい大きい(12枚)
運航状況(2026年)運航中次世代機開発中

安全性の記録

Blue Origin

2022年9月のNS-23ミッション(無人)でロケットエンジンに異常が発生し、カプセルの緊急脱出システムが作動した。カプセルは安全に帰還し、脱出システムの有効性が実証された。有人ミッションでの重大事故は発生していない。

Virgin Galactic

2014年10月、試験飛行中のVSS Enterpriseが空中分解し、副操縦士が死亡する事故が発生した。フェザリングシステムの早期解除が原因とされた。この事故を受けて安全システムが全面的に見直され、以降の飛行では重大事故は起きていない。


搭乗資格と健康要件

年齢制限

Blue Originは18歳以上、Virgin Galacticも18歳以上が条件。上限年齢の制限はなく、90歳のウィリアム・シャトナーがBlue Originで飛行している。

健康要件

打ち上げ時に約3〜3.5Gの加速度がかかるため、心臓疾患や重度の脊椎疾患がある場合は搭乗できない可能性がある。ただし、NASAの宇宙飛行士のような厳格な健康基準は求められない。両社とも事前の医学的スクリーニングを実施している。

訓練

Blue Originは打ち上げ前日に1日間の訓練を実施。緊急時の手順、微小重力での行動、カプセル内の移動方法を学ぶ。Virgin Galacticは数日間の訓練プログラムを提供している。


今後の展望

Blue Originの計画

New Shepardの運航を継続しつつ、大型ロケットNew Glennの開発を進めている。将来的にはNew Glennを使った軌道飛行の商業化も視野に入れている。

Virgin Galacticの次世代機

Delta級宇宙船は、SpaceShipTwoの後継機として開発中だ。週1回の飛行頻度を実現し、運航コストを大幅に削減する設計。2026年の飛行開始を目指している。

新規参入者

SpaceXのStarshipによる民間人の月周回飛行(dearMoonプロジェクト)や、Axiom Spaceによる民間ISS滞在など、軌道飛行レベルの民間宇宙旅行も進んでいる。サブオービタルは宇宙旅行の「入口」として、今後も需要が拡大する見込みだ。


まとめ

サブオービタル宇宙旅行は、2021年の商業飛行開始から数年を経て、安定運航の段階に入りつつある。Blue Originは垂直発射の「本格的な宇宙体験」、Virgin Galacticは空中発射の「優雅な宇宙旅行」と、それぞれ異なるアプローチで市場を開拓している。価格は依然として数千万円台だが、飛行頻度の向上と次世代機の登場により、段階的に低下していく見込みだ。


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