SpaceX Starshipの打ち上げ予定が気になっている方へ。2026年4月にはいよいよ**Starship V3の初飛行(Flight 12/IFT-12)**が控えている。この記事では、次回打ち上げの最新情報、過去全11回の飛行テスト結果、ライブ中継の見方をまとめた。
この記事は「ロケット完全ガイド」の詳細記事です。
次回打ち上げ予定 — Flight 12(V3初飛行)
Starship次回の打ち上げはFlight 12(IFT-12)で、2026年4月中旬が予定されている。これは新型のStarship V3を使った初の飛行テストであり、開発プログラムにとって大きな転換点になる。
現在のステータス(2026年3月時点)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ミッション | IFT-12(Integrated Flight Test 12) |
| 機体 | Starship V3(初飛行) |
| 打ち上げ予定 | 2026年4月中旬(FAA承認待ち) |
| 射場 | Starbase(テキサス州ボカチカ) |
| スタティックファイア | 2026年3月16日に完了 |
| FAA飛行許可 | 申請中 |
2026年3月16日に実施されたV3のスタティックファイア(地上燃焼試験)では、Super Heavyブースターの全33基のRaptor 3エンジンが正常に燃焼した。ただし、フル推力での「33基同時フル燃焼テスト」はまだ公式発表がなく、打ち上げ前に追加テストが実施される可能性がある。
Flight 12で注目すべきポイント
- V3の構造強化 — V3では船体の直径が9mに拡大され、推進剤搭載量が大幅に増加。LEO(低軌道)への打ち上げ能力が200トン超に向上する見込み
- Raptor 3エンジン — 推力と燃焼効率が改善された新型エンジン。V2のRaptor 2からの進化型
- ブースターキャッチの実施有無 — IFT-5で初成功した「メカジラ」によるキャッチを新型機体でも行うかが焦点
- ペイロード搭載 — V3初飛行で何らかのペイロードを搭載するかは未発表
V3のスペック詳細については別記事で詳しく解説している。
関連記事: Starship V3のスペックを徹底比較 — 歴代バージョンとの違い
IFT全11回の飛行テスト完全履歴
Starshipは2023年4月の初飛行から2025年末のFlight 11まで、計11回の飛行テストを実施してきた。以下に全ミッションの結果をまとめた。
| # | ミッション | 日付 | 機体 | ブースター結果 | 上段結果 | 主要成果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | IFT-1 | 2023年4月20日 | V1 | 失敗 | 失敗 | 初飛行。複数エンジン停止→飛行中に自爆。発射台に大損傷 |
| 2 | IFT-2 | 2023年11月18日 | V1 | 失敗 | 失敗 | ホットステージング初成功。ブースターは着水前に爆発、上段は通信喪失 |
| 3 | IFT-3 | 2024年3月14日 | V1 | 一部成功 | 一部成功 | 上段が初めて宇宙空間に到達。再突入データ取得。両段とも制御喪失 |
| 4 | IFT-4 | 2024年6月6日 | V2 | 成功 | 成功 | 初の両段制御着水に成功。ブースターの精密着水を達成 |
| 5 | IFT-5 | 2024年10月13日 | V2 | 成功 | 成功 | メカジラによるブースターキャッチ初成功。歴史的マイルストーン |
| 6 | IFT-6 | 2024年11月19日 | V2 | 一部成功 | 成功 | 通信途絶でキャッチ中止→ブースター着水成功。上段は制御着水 |
| 7 | IFT-7 | 2025年1月16日 | V2 | 成功 | 失敗 | 2回目のブースターキャッチ成功。上段は再突入中に喪失 |
| 8 | IFT-8 | 2025年3月12日 | V2 | 失敗 | 失敗 | エンジン火災により上昇中に通信喪失。最大の後退 |
| 9 | IFT-9 | 2025年5月22日 | V2 | 一部成功 | 成功 | 初のブースター再飛行(2回目の使用)。着陸時にブースター破壊 |
| 10 | IFT-10 | 2025年8月7日 | V2 | 成功 | 成功 | 全主要目標達成。ブースターキャッチ+上段精密着水を同時に成功 |
| 11 | IFT-11 | 2025年11月20日 | V2 | 成功 | 成功 | ペイロード放出テスト成功。軌道投入能力を実証 |
成功率の推移
11回の飛行テストで、開発は着実に進歩している。
- IFT-1〜3(V1時代): 完全成功なし。基本的な飛行データの収集が主目的
- IFT-4〜6(V2初期): IFT-4で初の両段成功、IFT-5でメカジラキャッチ成功
- IFT-7〜11(V2成熟期): IFT-8の失敗を除き、高い成功率を維持。IFT-10で全目標達成
ロケット開発において飛行テストの失敗は珍しいことではない。SpaceXはFalcon 1で3回連続失敗した後に成功にたどり着いた歴史があり、Starshipでも「速く失敗し、速く学ぶ」の開発哲学を貫いている。
ライブ中継の見方
Starshipの打ち上げは複数のチャンネルでライブ配信される。見逃さないための準備をまとめた。
公式配信チャンネル
| チャンネル | 配信開始時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| SpaceX公式(YouTube/X) | 打ち上げ約30〜60分前 | テレメトリ表示あり。最も詳細な技術情報 |
| NASA TV | 打ち上げ約60分前 | 解説付き。NASA関連ミッションの場合のみ |
| NASASpaceflight(YouTube) | 打ち上げ数時間前 | コミュニティ主導の詳細な解説。現地カメラ複数台 |
日本時間での視聴のコツ
テキサス州ボカチカからの打ち上げは、日本時間では深夜〜早朝になることが多い。現地時間(CST/CDT)との時差は以下の通り。
- 冬時間(CST): 日本時間 = 現地時間 + 15時間(例: 現地午前8時 → 日本午後11時)
- 夏時間(CDT): 日本時間 = 現地時間 + 14時間(例: 現地午前8時 → 日本午後10時)
打ち上げの正確な時間は通常24〜48時間前に発表されるため、SpaceXの公式Xアカウントをフォローしておくと見逃しにくい。
打ち上げが延期になったら
Starshipの打ち上げは天候や技術的理由で延期されることが珍しくない。延期の場合は以下を確認するとよい。
- SpaceX公式Xアカウント: 延期理由と次回予定の第一報
- FAA(連邦航空局)のTFR(一時飛行制限区域)情報: 新しい打ち上げ日程の手がかりになる
- Starbase周辺の道路封鎖通知: 打ち上げ日が近づくと地元自治体から通知が出る
Starship V3 vs V2 — 何が変わったか
Flight 12から投入されるV3は、V2から大幅にアップグレードされている。主な違いを簡潔にまとめた。
| スペック | V2 | V3 |
|---|---|---|
| LEOペイロード(再利用時) | 約100〜150トン | 約200トン以上 |
| LEOペイロード(使い捨て時) | 約250トン | 約300トン以上 |
| エンジン | Raptor 2(33+6基) | Raptor 3(33+6基) |
| 船体直径 | 9m | 9m |
| 推進剤搭載量 | 約4,600トン | 約5,000トン以上 |
| 熱防護システム | 第2世代タイル | 第3世代タイル(耐久性向上) |
V3はエンジン基数こそV2と同じだが、Raptor 3エンジンの推力向上と推進剤搭載量の増加により、ペイロード能力が大きく改善されている。
V2からV3への技術進化の詳細は、以下の記事で徹底比較している。
関連記事: Starship V3のスペック徹底比較 — V2との全比較
2026年のStarship打ち上げスケジュール展望
2026年のStarship打ち上げスケジュールの見通しをまとめた。日程はすべて予定であり、変更の可能性がある。
| 時期 | ミッション | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年4月中旬 | IFT-12(Flight 12) | V3初飛行。FAA承認待ち |
| 2026年Q2〜Q3 | IFT-13〜14 | V3の飛行テスト継続。ブースターキャッチ実施予定 |
| 2026年後半 | Starlink大量投入 | V3の大型ペイロードフェアリングを活用したStarlink大量投入ミッション |
| 2026年末〜2027年 | HLS(月着陸船)テスト | NASAのArtemis計画向け月着陸船バージョンのテスト |
SpaceXは年間打ち上げ頻度を大幅に引き上げる方針を示しており、2026年中にV3で少なくとも4〜6回の飛行を目指すとみられている。
2026年の全ロケット打ち上げスケジュールについては、以下の記事でまとめている。
関連記事: 2026年ロケット打ち上げスケジュール全ミッション一覧
Starshipが変える宇宙の未来
Starshipは単なる大型ロケットではなく、宇宙アクセスのコスト構造を根本から変える可能性を持つ。
打ち上げコストの革命
完全再利用が実現すれば、1kgあたりの打ち上げコストが現在の数千ドルから数十ドルにまで下がると試算されている。これは航空貨物に近いコスト帯であり、宇宙産業そのものの構造が変わることを意味する。
打ち上げコストの歴史的推移については以下の記事で詳しく解説している。
関連記事: 打ち上げコストの構造分析 — 製造費60%・燃料0.5%のコスト内訳
火星移住計画との関係
Starshipの最終目標は、イーロン・マスクが掲げる火星移住だ。V3の大型化・大容量化は、火星への大量輸送を見据えた設計である。1回の飛行で100人以上の乗客または200トン以上の貨物を火星に送ることを長期目標としている。
日本との関係
2026年現在、Starshipに搭載する日本のペイロードは公式には発表されていない。しかし、JAXAはStarshipを月面探査の輸送手段として検討しており、Artemis計画を通じた間接的な関わりが期待されている。
よくある質問(FAQ)
Q. Starshipの打ち上げを日本からリアルタイムで見る方法は?
SpaceXの公式YouTubeチャンネルで無料のライブ配信が行われる。打ち上げ約30〜60分前から配信が始まるため、SpaceXの公式Xアカウントで告知される時間を確認しておくとよい。日本時間では深夜〜早朝になることが多いため、通知設定をしておくのがおすすめだ。
Q. Starship V3の初飛行はいつ予定されている?
2026年4月中旬が予定されている(2026年3月時点)。ただし、FAA(連邦航空局)の飛行許可取得が必要で、天候や技術的理由で延期される可能性もある。3月16日のスタティックファイアは成功しており、機体の準備は進んでいる。
Q. Starshipは何回失敗している?
11回の飛行テスト(IFT-1〜11)のうち、完全成功といえるのはIFT-4、IFT-5、IFT-10、IFT-11の4回だ。ただし「失敗」の定義は難しく、多くのミッションで部分的な成功(データ取得、技術実証)が得られている。ロケット開発では飛行テストの失敗から学ぶことが一般的なプロセスだ。
Q. Starshipの打ち上げが延期された場合どこで確認できる?
SpaceXの公式Xアカウントが最も早い情報源だ。また、NASASpaceflightやSpaceflight Nowなどの宇宙メディアも速報で延期情報を報じる。FAA発行のTFR(一時飛行制限区域)情報も、新しい打ち上げ日程を推測する手がかりになる。
Q. SpaceX StarlinkとStarshipの関係は?
Starlinkは衛星インターネットサービスで、現在はFalcon 9で打ち上げられている。Starship V3が運用開始すれば、1回の打ち上げで従来の3〜4倍のStarlink衛星を軌道に投入できるようになる。これにより、Starlinkの展開速度が大幅に加速する見込みだ。
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