2025年は世界で324回の軌道打ち上げ
2025年の世界の軌道打ち上げ試行回数は324回となり、2024年の259回から25%増加して過去最高記録を大幅に更新しました。
この数字には、サウンディングロケット(弾道飛行)や、軌道に到達しなかった打ち上げ失敗も含まれます。軌道投入に成功した回数はこれよりやや少なくなります。
国別の打ち上げ回数
米国と中国で全体の88%
2025年の軌道打ち上げは、米国と中国の2か国だけで全体の**88%**を占めました。
| 順位 | 国 | 打ち上げ回数 | 前年比 | シェア |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 米国 | 193回 | +44% | 59.6% |
| 2 | 中国 | 93回 | +18% | 28.7% |
| 3 | ロシア | 17回 | — | 5.2% |
| 4 | 日本 | 6回 | — | 1.9% |
| 5 | インド | 5回 | — | 1.5% |
| — | その他 | 10回 | — | 3.1% |
| — | 合計 | 324回 | +25% | 100% |
米国の193回には、Rocket Lab(ニュージーランドから打ち上げ)の実績も含まれています。これはRocket Labが米国に本社を置く企業であるためです。
SpaceXの圧倒的シェア
米国の193回のうち、SpaceXだけで165回を占めています。つまり、SpaceX1社で「世界のその他すべての国・企業の合計」を上回ったことになります。
中国の躍進
中国は93回の打ち上げで国家記録を更新しました。国営企業(CASC/CASIC)に加え、民間企業のiSpace、Galactic Energy、LandSpaceなど約20社がロケットを開発・運用しています。
ロケット別の打ち上げ回数
| ロケット | 国 | 回数 | 成功率 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Falcon 9 | 米国(SpaceX) | 約160回 | 99%+ | 世界最多、ブースター再使用 |
| 長征シリーズ | 中国(CASC) | 約50回 | 95%+ | 中国の主力 |
| Electron | NZ(Rocket Lab) | 約15回 | 95%+ | 小型衛星専用 |
| H3 | 日本(JAXA/MHI) | 3回 | 100% | 日本の次期基幹ロケット |
| PSLV/GSLV | インド(ISRO) | 5回 | — | インドの主力 |
Falcon 9は2025年に約160回の打ち上げを実施し、ブースター着陸の成功率も極めて高い水準を維持しました。1段目ブースターの最大再使用回数は25回以上に達しています。
年次推移 — 打ち上げ回数の急増
過去10年間の軌道打ち上げ回数の推移を見ると、2020年代に入ってからの加速が顕著です。
| 年 | 打ち上げ回数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2016年 | 85回 | — |
| 2017年 | 91回 | +7% |
| 2018年 | 114回 | +25% |
| 2019年 | 103回 | -10% |
| 2020年 | 114回 | +11% |
| 2021年 | 146回 | +28% |
| 2022年 | 186回 | +27% |
| 2023年 | 223回 | +20% |
| 2024年 | 259回 | +16% |
| 2025年 | 324回 | +25% |
2016年の85回から2025年の324回へ、10年間で約3.8倍に増加しました。この急増の最大の要因はSpaceXのFalcon 9による打ち上げ頻度の向上と、中国の民間ロケット企業の台頭です。
Starlink打ち上げの影響
2025年の打ち上げ回数の多くは、SpaceXのStarlink衛星コンステレーションの展開に起因しています。SpaceXは2025年中に数百基のStarlink衛星を軌道に投入し、運用衛星数は約1万基に到達しました。
1回のFalcon 9打ち上げで約20〜25基のStarlink V2 Mini衛星が搭載されます。これにより、SpaceXは自社の衛星コンステレーション構築のために、年間100回以上の打ち上げを自社で「消費」しています。
有人宇宙飛行
2025年にはSpaceXのクルードラゴンによるISS往復ミッション、中国の神舟ミッションなど、複数の有人宇宙飛行が実施されました。
有人宇宙飛行の能力を持つ国は、米国(SpaceX経由)、中国、ロシアの3か国のみです。インドは「ガガンヤーン」計画で有人飛行を目指していますが、2025年時点では実現していません。
打ち上げ失敗・部分的失敗
324回の打ち上げのうち、完全な失敗または部分的失敗となったケースも複数ありました。特に、新型ロケットの初期飛行や小型ロケットスタートアップの打ち上げで失敗が発生する傾向があります。
全体の成功率は約**95%**で、ここ数年と同水準です。Falcon 9のような実績のあるロケットの成功率は99%を超える一方、新規参入企業のロケットは初期の信頼性確立に課題を抱えています。
日本の打ち上げ実績
日本は2025年にH3ロケット3回を含む6回の打ち上げを実施しました。H3は3回連続で打ち上げに成功し、信頼性の構築が進んでいます。
一方、スペースワンのカイロスロケットは打ち上げ失敗が続いており、日本の民間ロケットの商業化にはまだ課題が残っています。
H3ロケットの開発状況と今後の計画については別記事で詳しく解説しています。
2026年の見通し
2026年はさらに打ち上げ回数が増加すると予想されています。主な注目点は以下のとおりです。
- SpaceX Starship — 本格的な飛行試験の加速。Starlink V3衛星の投入開始
- 中国 — 長征10号の初飛行、民間ロケット企業のさらなる台頭
- Rocket Lab Neutron — 中型ロケットの初飛行(時期未定)
- 日本 H3 — 打ち上げ頻度の向上
- Amazon Kuiper — Kuiper衛星コンステレーションの本格展開
2026年のロケット打ち上げスケジュールは随時更新しています。
打ち上げ増加の背景 — なぜこれほど急増しているのか
コストの劇的な低下
最大の要因は打ち上げコストの低下です。SpaceXのFalcon 9は再使用技術により、1回あたりの打ち上げ費用を約6,700万ドルまで引き下げました。使い捨てロケット時代と比べて、同等の打ち上げ能力で数分の一のコストです。
小型衛星の爆発的増加
衛星の小型化・量産化が進み、1回の打ち上げで数十基の衛星を投入する「ライドシェア」方式が一般化しました。衛星を打ち上げたい需要が増えれば、打ち上げ回数も増えます。
コンステレーションの展開
Starlinkだけで年間100回以上の打ち上げを「自社消費」しています。Kuiper、OneWebなどの競合コンステレーションの展開も加わり、打ち上げ需要は構造的に増加しています。
中国の民間ロケット企業の台頭
中国では約20社のロケット企業が競争しており、国家としての打ち上げ回数を急増させています。再使用ロケットの開発も進んでおり、今後さらに頻度が上がる見込みです。
よくある質問(FAQ)
Q. 324回の打ち上げのうち、何回が成功しましたか?
全体の成功率は約95%で、完全な失敗は十数件程度です。Falcon 9のように実績のあるロケットの成功率は99%超ですが、新型ロケットの初号機や小型ロケットスタートアップの打ち上げでは失敗が発生しやすい傾向があります。
Q. 日本のH3ロケットは2025年に何回打ち上げましたか?
H3ロケットは2025年に3回の打ち上げを実施し、すべて成功しました。2023年の2号機以降、連続成功を重ねており、信頼性の構築が進んでいます。
Q. 打ち上げ回数は今後も増え続けますか?
短中期的には増加が続く見込みです。Starshipが本格稼働すれば、SpaceXだけでさらに打ち上げ回数が増えます。中国の民間ロケット企業の成長も継続しています。ただし、軌道の混雑やデブリ問題が長期的な制約要因となる可能性はあります。
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参考としたサイト
- SpaceNews — SpaceX, China drive new record for orbital launches in 2025
- Payload Space — 2025 Orbital Launch Attempts by Country
- The Ill-Defined Space — Global Orbital Launch Summary 2025
- Space Stats Online — Orbital launches in 2025
- Wikipedia — 2025 in spaceflight
- Payload Space — China Breaks Its Own Yearly Launch Record