火星に住むために自給自足・再生エネルギーについて考えてみた

目次

はじめに

火星は大気の96%が二酸化炭素です。NASAによると、火星の大気の成分は二酸化炭素が96%で、次いで 2.7% の窒素、1.6% のアルゴンが含まれる。酸素は0・13%しか含まれておらず地球の大気とは根本的に構造が異なります。大気圧は地球の約1/160なのですが、火星は地球の二酸化炭素総量の約340倍あります。

つまり二酸化炭素だけは豊富にある。その原因は地球と比較すると小さくて重力が弱い=二酸化炭素が宇宙空間に逃げず溜まり続ける一方だとされています。また地球のような生物による二酸化炭素の吸収がないため、二酸化炭素が蓄積し続けているという理由もあります。

ちなみに地球の大気は、窒素(N2)78.1%、酸素が20.9%、アルゴン(Ar)が0.93%、二酸化炭素が地球温暖化で問題になってますがたったの0.041%です。ちなみに異常気象レポート2005によると19世紀初頭は0.028%だったとされるので確実に増加しています。

圧倒的に二酸化炭素が多い環境ですが、地球も温暖化が進むと最終形態は火星のようになるとも言われています。

さてそんな、地球が迎える最悪の状態のような火星ですがNASAやイーロンマスク氏は「テラフォーミング(惑星の大気、温度、地形などを改造し、生命が居住可能な環境にすること)」しようとしています。

火星で検討されているエネルギー生成方法一覧

太陽光発電

火星は地球よりも太陽から遠いものの、十分な量の太陽光が降り注ぎます。そのため、太陽光発電は火星でエネルギーを生成する最も現実的な方法の一つです。現在NASAが火星に送ったローバー(探査機)は太陽光発電で動いています。

しかし太陽光発電パネルに積もった砂の影響で活動停止に追い込まれるなど、火星の砂嵐は影響が大きく太陽光発電による電力供給の弊害となっています。

風力発電

火星は風が強いことで知られており、風力発電も有効な手段となります。現在はNASAも中国も太陽光発電を利用していますが、風力発電も掛け合わせて探査機を動かした方が良いのでは?といった議論もあるようです。

原子力発電

ただし太陽光や風力発電は天候に左右されるため、安定したエネルギー源として原子力発電も検討されています。BUSINESS INSIDERによるとNASAは月面用の小型原子炉を開発中のようです。成功すれば火星でも活用する想定です。

火力発電

火星には二酸化炭素が豊富に存在するため、それを燃料とする火力発電も考えられます。が現在進捗はありません。

バイオ燃料

火星で植物を育て、バイオ燃料を生産することも可能です。財経新聞によると米ジョージア工科大学では2021年に地球からシアノバクテリアと人工大腸菌、現地で二酸化炭素と氷と太陽光を調達しロケットの燃料を生成する研究を発表しました。

地熱発電

火星には地下に熱源があると推測されており、地熱発電も可能性のある方法の一つです。ただし不確実要素が大きいため現在大きな進捗はありません。

潮汐発電

火星の二つの衛星、フォボスとダイモスを利用した潮汐発電も考えられます。ただし不確実要素が大きいため現在大きな進捗はありません。

人工光合成

太陽光を利用して人工的に燃料を生産する人工光合成も研究されています。これを活用するとなると、太陽光の強さが地球と比べて弱いことが問題視されていたり開発コストが高いなど問題は多々あるようですが、火星をテラフォーミングするのに重要だとして注目されているようです。

再生エネルギーとして有力な候補

太陽光発電

言わずもがなな太陽光発電です。

風力発電

火星は風が強いことで知られており、風力発電も有効な手段となります。

バイオ燃料

火星で植物を育て、そのバイオマスから燃料を生産する方法です。バイオ燃料は二酸化炭素を吸収して成長する植物を利用するため、二酸化炭素排出量を削減することができます。また、火星で調達可能な資源を利用するため、持続可能なエネルギー源となります。

人工光合成

太陽光を利用して人工的に燃料を生産する方法です。人工光合成は、二酸化炭素と水を原料として、メタンやエタノールなどの燃料を生産することができます。将来的には、火星で人工光合成を利用して、燃料や食料を生産することが期待されています。

最も有力なのは太陽光発電

1. 豊富な太陽光

火星は地球よりも太陽から遠いですが、それでも十分な量の太陽光が降り注ぎます。火星の表面に到達する太陽光量は、地球の約40~60%です。

2. 技術の成熟

太陽光発電は、すでに地球上で広く普及している技術であり、モジュールの価格は年々低下しています。また、太陽光パネルは軽量で設置が容易なため、火星への輸送にも適しています。

3. 火星環境への適応

太陽光発電は、火星の大気や温度などの環境条件に比較的影響を受けにくい発電方法です。火星の大気は薄いため、地球よりも太陽光の透過率が高く、発電効率が向上します。また、火星は昼夜の温度差が大きいですが、太陽光発電は昼間に発電を行うため、温度差の影響を受けにくいというメリットがあります。

4. 他の再生可能エネルギーとの比較

火星で検討されている他の再生可能エネルギーと比較すると、太陽光発電は以下のような利点があります。

  • 風力発電: 火星の風は強いが、風況が安定していないため、発電量の変動が大きい
  • 地熱発電: 火星の地下に熱源があると推測されているが、探査・開発に時間がかかり、コストが高い
  • 潮汐発電: 火星には2つの衛星があるが、潮汐力は地球よりも弱く、発電量が小さい

ただし、二酸化炭素を活用するなら人工光合成とバイオ燃料

どちらも二酸化炭素を減らすことから、地球温暖化にも貢献する再生エネルギーに分類されます。人工光合成はまだ始まったばかりで実用化には至っていませんがそれぞれ紹介していきます。

人工光合成とは

人工光合成は、植物の光合成を参考に、太陽光、水、二酸化炭素を使って、燃料や化学原料を生産する技術です。従来の太陽光発電とは異なり、電気ではなく、直接化学エネルギーに変換するため、エネルギー効率が高いことが期待されています。

人工光合成の発電方法

人工光合成による発電方法は、大きく2種類あります。

1. 光触媒による水素製造

光触媒は、光エネルギーによって化学反応を起こす物質です。人工光合成では、光触媒を使って水を酸素と水素に分解します。この水素を燃料電池などで利用することで、発電することができます。

2. 人工葉による直接発電

人工葉は、光合成の仕組みを人工的に再現したものです。人工葉に太陽光を当てると、水と二酸化炭素から直接電気を生成することができます。

人工光合成の現状

人工光合成は、まだ研究開発段階の技術です。光触媒による水素製造は、実証実験段階に進んでいますが、効率化が課題となっています。人工葉による直接発電は、研究段階にあり、実用化には多くの課題があります。

バイオ燃料とは


バイオ燃料とは、生物資源から作られた燃料のことを指します。具体的には、植物、動物、微生物などを原料として、液体燃料、気体燃料、固体燃料など様々な形態の燃料が生産されます。

メリット

バイオ燃料は、従来の化石燃料(石油、石炭、天然ガス)と比べて、以下のメリットがあります。

1. カーボンニュートラル

バイオ燃料の原料となる生物資源は、成長過程で二酸化炭素を吸収します。そのため、バイオ燃料を燃焼しても、大気中の二酸化炭素の総量が増えることはありません。一方、化石燃料を燃焼すると、大気中に二酸化炭素が排出され、地球温暖化の原因となります。

2. 再生可能

バイオ燃料の原料となる生物資源は、再生可能な資源です。適切な管理を行えば、継続的に生産することができます。一方、化石燃料は有限な資源であり、枯渇する可能性があります。

3. 地産地消

バイオ燃料は、地域で生産された生物資源から作ることができます。そのため、エネルギーの自給率向上に貢献することができます。

バイオ燃料は、これらのメリットから、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から注目されています。

バイオ燃料の発電方法

バイオ燃料は、生物資源から作られる燃料です。バイオ燃料発電は、バイオ燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させ、その熱エネルギーで発電機を回して発電する方法です。

主なバイオ燃料の発電方法

  • 直接燃焼方式

バイオマス燃料を直接燃焼させて、蒸気タービンやガスタービンを回して発電する方法です。木質バイオマス、廃棄物バイオマスなどが燃料として利用されます。

  • ガス化方式

バイオマス燃料をガス化炉でガス化し、発生したバイオガスを燃料として発電する方法です。バイオガスは、都市ガスの代替燃料としても利用できます。

  • バイオエタノール発電

バイオエタノールを燃料として、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを改造した発電機を回して発電する方法です。バイオエタノールは、トウモロコシやサトウキビなどの糖質を含む原料から製造されます。

  • バイオディーゼル発電

バイオディーゼル燃料を燃料として、ディーゼルエンジンを改造した発電機を回して発電する方法です。バイオディーゼル燃料は、廃食油や植物油から製造されます。

現状の運用例

バイオ燃料の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

1. バイオエタノール

トウモロコシやサトウキビなどの糖質を含む原料から作られるアルコール燃料です。ガソリンに混ぜて自動車燃料として利用できます。

2. バイオディーゼル

大豆油や菜種油などの植物油から作られる脂肪酸メチルエステル燃料です。軽油に混ぜて自動車燃料として利用できます。

3. バイオガス

家畜排泄物や食品廃棄物などを発酵させて作られるメタンガスです。都市ガスや発電燃料として利用できます。

バイオ燃料は、様々な原料から作ることができるため、地域や用途に合わせて最適な燃料を選択することができます。

バイオ燃料の現状

バイオ燃料の課題

バイオ燃料は、多くのメリットがある一方で、以下の課題もあります。

1. 食料との競合

バイオ燃料の原料となる植物は、食料としても利用可能なものが多いため、食料価格の高騰につながる可能性があります。

2. 森林伐採

バイオ燃料の原料となる植物を栽培するために、森林伐採が進む可能性があります。

3. 環境負荷

バイオ燃料の生産過程で、水質汚染や大気汚染などの環境負荷が発生する可能性があります。

これらの課題を克服するためには、持続可能なバイオ燃料生産技術の開発が必要です。

まとめ

地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、今後も二酸化炭素を減らす再生エネルギーは重要な役割を果たしていきます。火星のようなより過酷な環境下でもエネルギーを効率よく作る仕組みがあれば、地球にとっても積極的に活用したい次世代のエネルギーでは?という視点から諸々調査してみました。

今後の技術進捗が楽しみです!

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