新たな宇宙への旅行手段、宇宙エレベーターの構想について

停止している衛星と地上を繋いで、巨大なエレベーターを作る。これは宇宙へ行く手段だ増えるだけでなく、地球上のビルの概念も根本的に変えてしまいそうなワクワクする話です。

宇宙エレベーターは、地球と宇宙空間を結ぶ巨大な構造物であり、地上から宇宙へ人や物資を安全かつ安価に輸送することを可能にする夢の技術です。SF小説の世界でしか実現できないと思われていたこの技術ですが、近年では技術的な進歩と民間企業の参入により、実現に向けて具体的な構想が作られています。

目次

現在の進捗

2023年現在、宇宙エレベーターの実現に向けた研究開発は、以下の3つの主要な分野で進められています。

1. 素材

宇宙エレベーターは、地球の重力に逆らって支える強靭なケーブルと、ケーブルを支える巨大な地上アンテナと宇宙アンテナが必要です。これらの構造物には、従来の素材では実現できない強度と軽さを持つ新しい素材が必要です。

近年では、炭素繊維やナノチューブなどの先進素材の開発が進められており、宇宙エレベーターの実現に必要な強度と軽さを備えた素材開発に近づいています。

2. 建設技術

宇宙エレベーターの建設は、人類史上最大規模のプロジェクトとなります。地上から宇宙空間まで数十万kmのケーブルを建設するには、従来の建設技術では不可能な技術が必要です。

近年では、ロボット技術や自動化技術などの進歩により、宇宙空間での作業や大規模な構造物の建設が可能になりつつあります。

3. エネルギー

宇宙エレベーターを稼働するには、ケーブルを支えるための巨大なエネルギーが必要です。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの利用が検討されていますが、宇宙エレベーターの規模を考えると、必要なエネルギー量は膨大です。

近年では、エネルギー効率の向上や新たなエネルギー源の開発などの研究が進められており、宇宙エレベーターの稼働に必要なエネルギー確保に向けて課題解決が進められています。

民間企業の参入

宇宙エレベーターの発想自体は、それこそ小説、漫画、アニメ含め様々なSFもので登場しました。近年では、宇宙エレベーターの実現に向けて、民間企業が積極的に参入しています。

大林組

2050年までの宇宙エレベーターの実現を目指して研究開発を進めています。

カーボンナノチューブ製のケーブルやクライマーの開発が終了し、2025年にアース・ポートの着工ができれば、25年間の建設工期で、2050年から静止軌道ステーションの供用が開始できる

https://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/detail/kikan_53_idea.html

ただしかかるコストは10兆円で建設期間は20年。国家プロジェクト並ですね。
ちなみに国際宇宙ステーション(ISS)は建設費は約5兆円だったそうです。あくまで推定値であり、実際の費用はこれより多少異なる可能性がある上にNASAやJAXAからの情報はないのであくまで推測だと思ってください。
楽しみな上で、実現可能か小さく検証する必要もありそうですが、そのステップの刻み方が不透明な上で国際的な協力なしでは進まなさそうな計画だと推察します^^;

●宇宙開発には莫大な費用がかかる
・国際宇宙ステーションの建設費 → 約400億ドル(約5兆円)
 (当初予定よりも大幅にふくらんでいる。日本の負担は約6000億円)
・1回のスペースシャトルの打ち上げ費用 → 約5億ドル(約600億円)
・1回の無人ロケットの打ち上げ費用 → 1億ドル~2億ドル(100億円~200億円)
 (日本のH2ロケットの場合、約200億円)

比較 日本の国家予算
・発展途上国への援助(ODA)予算(2002年度) → 8566億円
・公立の小・中・高等学校の校舎改築などのための予算(2002年度) →1515億円
・ガン関連の年間研究予算(2001年度) → 140億円
・アレルギー疾患や感染症治療のための年間研究予算(2001年度) → 53億円
・ES細胞等を利用した再生医療の年間研究予算(2001年度) →80億円
・スーパーカミオカンデの建設費用(総額) →約100億円

https://www.ne.jp/asahi/box/kuro/report/space2.htm
日経BP社「日経ニューメディア」編集部で宇宙開発関連の記事を担当している松浦 晋様のブログより(現在は閉鎖)

Liftport

2012年にはKickstarterにてクラウドファンディングプロジェクトで約$110,000(1,600万円)調達するなど資金調達も周知活動も積極的です。2045年までに宇宙エレベーターの建設を開始することを目標としています。

ただしそれ以降調達は行なっておらず、Kickstarterでも進捗のなさから批判が殺到しているようです^^;

これらの民間企業は、独自の技術開発を進めるとともに、政府機関との連携や国際的な共同研究などを通じて、宇宙エレベーターの実現に向けた取り組みを加速させています。

課題と展望

実は宇宙エレベーターは1970年代から何度も登場し挫折を繰り返してきました。実現には技術的な課題だけでなく、経済的な課題や環境的な課題も存在します。

技術的な課題

  • 素材開発:従来の素材では実現できない強度と軽さを持つ新しい素材が必要です。
  • 建設技術:地上から宇宙空間まで数十万kmのケーブルを建設する技術が必要です。
  • エネルギー:ケーブルを支えるための巨大なエネルギーが必要です。
  • 安全性:宇宙エレベーターの安全性確保は重要な課題です。
  • 環境への影響:宇宙エレベーターの建設が環境に与える影響を評価する必要があります。

経済的な課題

  • 建設コスト:宇宙エレベーターの建設には膨大なコストがかかります。
  • 収益モデル:建設コストを回収し、利益を生み出すための収益モデルが必要です。

環境的な課題

  • 宇宙空間の環境への影響:宇宙エレベーターの建設が宇宙空間の環境に与える影響を評価する必要があります。
  • 地球環境への影響:宇宙エレベーターの建設が地球環境に与える影響を評価する必要があります。

これらの課題を克服するためには、ISSのような国際的なプロジェクトとし官民一体となった取り組みが必要となります。

宇宙エレベーターが実現すれば、以下のようなメリットが期待できます。

  • 宇宙へのアクセスが飛躍的に向上し、宇宙旅行や宇宙開発がより身近なものになる。
  • 人工衛星の打ち上げコストが大幅に削減され、宇宙空間の利用が促進される。
  • 地球と宇宙間の物流が効率化され、宇宙資源の開発が可能になる。

理想的な宇宙エレベーターができれば、ロケットの打ち上げ頻度を減らすことができて衛星も自由に軌道を選べる。スペースデブリの除去も容易になる、そんな気がしますね。

NASAの動き

2010年にLiftportとのプロジェクトが頓挫して以来、進捗は見られませんでした。アルテミス計画・超音速飛行機を優先している印象です。

まとめ

ロケットから飛ぶのは、やっぱり怖さもあるので宇宙エレベーターがあると嬉しいなと思う今日この頃ですが道のりは長そうでした。

更新:2024年3月28日に日本が宇宙技術戦略を策定し発表しました。こちらに宇宙ホテルは含まれていませんでした。

出典:

https://www.jsea.jp/ 
https://www.isec.org/
https://www.liftport.com/
https://www.obayashi.co.jp/

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