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ISS退役はいつ? — 2030年の計画的軌道離脱とSpaceX製デオービット機


ISS退役の概要

国際宇宙ステーション(ISS)は2030年末に運用を終了し、2031年に計画的な軌道離脱(デオービット)を実施する。1998年の建設開始から約32年にわたる運用に幕を下ろすことになる。


退役スケジュール

時期イベント
2024年NASAがSpaceXにデオービット機の開発を発注
2026年Dragon宇宙船によるリブーストテスト実施中
2028年頃デオービット機完成・打上げ(予定)
2030年末ISS運用終了
2031年計画的軌道離脱・大気圏再突入

SpaceX製デオービット機(USDV)

NASAは2024年6月、ISS退役後の軌道離脱を担う宇宙機の開発をSpaceXに発注した。契約額は約8億4,300万ドル(約1,360億円)

デオービット機の仕様(判明分)

項目内容
ベースDragon宇宙船の派生型
推進力強化専用「ブーストキット」を搭載
構成6基の推進剤タンク、ヘリウム加圧タンク、2基のDracoスラスター
役割ISSの軌道を制御下で降下させ、大気圏に再突入させる

Dragon宇宙船はすでにISSのリブースト(軌道高度の引き上げ)テストを複数回実施しており、デオービット機に必要な推進技術の検証を段階的に進めている。


なぜISSは退役するのか

構造的な老朽化

ISSの主要モジュールは20年以上運用されており、微小な亀裂、空気漏れ、温度管理システムの劣化が報告されている。特にロシア側のズヴェズダモジュールでは空気漏れが継続的に発生している。

維持コスト

ISSの年間運用費は約30〜40億ドル(約4,500〜6,000億円)。NASAの予算全体の約1/7を占める。この費用をArtemis計画や次世代の探査に振り向ける必要がある。

国際関係

ISSは米国、ロシア、日本、欧州、カナダの5極が参加する国際プロジェクトだが、ロシアとの関係変化により、共同運用の将来に不確実性が生じている。


軌道離脱の手順

ISSの総質量は約420トン。人類が計画的に軌道離脱させる物体としては史上最大となる。

  1. 運用終了後、クルーが完全退去
  2. デオービット機がISSにドッキング
  3. 段階的に軌道高度を降下
  4. 最終的な減速噴射(デオービットバーン)
  5. 大気圏再突入 — 大部分は燃え尽きるが、一部の高耐熱部品は地上に到達
  6. 残骸はポイント・ネモ(南太平洋の人工物最遠点)に落下

ポイント・ネモは陸地から最も遠い海域で、ロシアのミール宇宙ステーション(2001年)をはじめ、多くの宇宙機の墓場として使われている。


ISS後の宇宙ステーション

NASAは**Commercial LEO Destinations(CLD)**プログラムで民間宇宙ステーションの開発を支援している。

プロジェクト企業特徴
Orbital ReefBlue Origin + Sierra Space多目的ステーション。研究・観光・製造
StarlabVoyager Space + Airbusコンパクトな研究特化型
Axiom StationAxiom SpaceISS接続モジュールから独立ステーションへ移行

これらの民間ステーションが2030年までに運用を開始し、ISSの機能を引き継ぐ計画。ただし、スケジュール通りに完成するかは不透明な部分もある。


ISSの遺産 — 25年間の成果

ISSは2000年の有人運用開始以来、人類の宇宙活動に大きな貢献をしてきた。

分野成果
科学実験3,000件以上の実験を実施。骨粗鬆症治療薬、タンパク質結晶成長など
長期滞在人体への微小重力の影響を体系的に研究。スコット・ケリーの1年滞在実験
国際協力冷戦後の米ロ協力の象徴。19か国から270名以上が訪問
技術実証ロボットアーム、船外活動技術、生命維持システムの運用知見
教育世界中の学生が参加する教育プログラムを多数実施

ISSで得られた知見は、月面基地やゲートウェイ、将来の火星ミッションに直接活用される。


日本への影響

日本は「きぼう」実験棟でISSに参画しており、ISS退役後の低軌道活動のあり方が問われている。

  • きぼうの運用知見 — 約15年の有人実験棟運用で蓄積した技術は、民間ステーションや月探査に活用可能
  • HTV-Xの活用 — 新型補給船HTV-Xは、ISS退役後も物資輸送技術として転用が見込まれる
  • 民間ステーションへの参画 — Axiom SpaceやStarlabへの日本企業の関与が検討されている

よくある質問

Q: ISSの一部を保存することはできないの?

A: 技術的には理論上可能だが、実際にはモジュールを分離して安全に地球に帰還させるのは極めて困難。大気圏再突入時の熱に耐えるシールドが必要で、コストと技術的リスクが見合わない。NASAはISSの部品の一部をスミソニアン博物館に展示する可能性を検討しているが、具体的な計画は未発表。

Q: 退役を延期する可能性は?

A: NASAは2030年を公式な運用終了年としているが、民間ステーションの建設が遅れた場合、1〜2年の延長が行われる可能性はある。ただし構造的な老朽化は進行中であり、大幅な延長は安全上のリスクを伴う。


まとめ

ISSは2030年末に運用を終了し、2031年にSpaceX製デオービット機で計画的に軌道離脱する。420トンの巨大構造物の制御された大気圏再突入は人類史上最大の作業となる。ISS後は民間宇宙ステーションが低軌道の活動を引き継ぐ予定だが、移行が円滑に進むかが今後の焦点。


参考としたサイト


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